本ページは2025年5月時点の ISO 29463:2022/EN 1822:2019/JIS B 9920:2019、および主要メーカー(Camfil・日本無機・日本エアーテック・Freudenberg)公開データ、さらに SEMI 規格、EU GMP Annex 1、NIOSH 推奨指針を総合し編集しています。現場適用時は必ず一次資料と所轄官庁・保健当局の見解を確認してください。
クリーンブースやクリーンルームにおける空気清浄度の最終防壁として、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルターは極めて重要です。HEPA フィルターが登場した 1960 年代以降、微細化・高速化が進む半導体産業や無菌医薬品製造プロセスでは、HEPA を上回る粒子除去能力が求められるようになり、1990 年代には欧州 EN 1822 で ULPA の効率基準が体系化されました。現在では、EUV 露光ライン、ナノインプリント、先端リチウム電池製造、病原体ハイリスク施設(BSL‑3/4)など、ISO クラス 3〜4 を標準とする超清浄空間で欠かせないキーコンポーネントとなっています。
ULPA フィルターの性能は「最も透過しやすい粒径(MPPS:0.07〜0.20 µm)」に対する捕集効率で評価します。ISO 29463‑1 と EN 1822‑1 では、U15(≥99.9995 %)、U16(≥99.99995 %)、U17(≥99.999995 %)という 3 つの等級が設定されており、U17 は 1 億個の粒子を通した場合でも最大で 5 個 しか漏れない計算になります。
なお、米国では IEST RP‑CC001 に準拠しつつ、重点施設では ASME AG‑1(原子力施設用)クラス WA3(≥99.9999 %)を採用するケースも増えています。
捕集効率以外にも、以下の違いがシステム設計に影響します。
TSV(Through Silicon Via)実装ラインのデータによると、0.1 µm 粒子の空中濃度を 50 個/ft³ → 5 個/ft³ に削減しただけで、シリコン貫通電極の断線不良率が 0.68 % → 0.11 %(年損失約 1.2 億円相当)に低減した例が報告されていますCamfil Tech Note 2024‑A。
再充填式注射剤の Grade A アイソレーターでは、0.5 µm 粒子数を 1 個/m³ 未満 へ抑制することが EU GMP にて推奨されています。U16 ULPA とユニディレクショナルダウンフローの組合せで、充填針周囲の浮遊菌ログが 12 か月連続で 0 CFU を達成したケースがあり、査察当局からも高評価を得ています。
BSL‑4 実験室では懸濁操作後の排気ガスに 0.02 µm ウイルス様粒子(bacteriophage ΦX174)を用いた DOP/PAO スキャンを実施。U17 ULPA 二段構成で リーク率 1×10‑8 以下を実証し、従来の HEPA 単段に比べ 100 倍の安全係数を確保しています。
ULPA は再生洗浄不可の消耗品です。差圧ログ・粒子計数・製品検査データを統合し、最適交換点を AI 解析で予測する「予知保全」が注目されています。
データソース | サンプリング間隔 | 異常閾値 | アクション |
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ΔP センサー | 5 分 | +10 Pa/h 越え | プレフィルタ異物詰まり点検 |
0.1 µm パーティクル | 15 分 | ISO 4 限界 10 個/ft³ | ULPA 漏れ or フロア汚染確認 |
AI 歩留まりモデル | 24 時間 | 歩留まり ‑0.5 pt | タクト毎ログと相関解析 |
実際に東海地区メモリファブでは、AI システム導入後に ULPA 交換タイミングの最適化で年間 1,400 万円のコスト低減と CO2 排出量 9.2 t 削減を達成しています。
ULPA フィルターは、ナノレベルの粒子・ウイルス・化学エアロゾルをほぼ完全に遮断し、ハイエンド製造と最先端研究に不可欠な基盤技術です。導入時は圧損 × エネルギー × 長期 TCO の三位一体最適化を図り、AI 予知保全やハイブリッド濾材など新技術を積極的に活用することで、品質向上とサステナブル経営を両立できます。
目的に合ったクリーンブース選定の第一歩に
クリーンブースは、製品ごとに最適な設置環境や性能条件が異なります。
使用目的や現場環境に合ったブースを導入するためにも、まずは当サイトおすすめの取扱い企業を確認してみましょう。
伸榮産業
引用元:伸榮産業公式サイト
https://www.s-shin-ei.co.jp/clean_booth.html
日本エアーテック
引用元:日本エアーテック公式サイト
https://www.airtech.co.jp/
・医薬品製造工場の実績が豊富
・医薬品製造工場が多数ある中国・シンガポール・韓国・インドなど8つの海外拠点を持つ
アズワン(AXLE)
引用元:アズワン公式サイト
https://www.airtech.co.jp/