一般的なクリーンルームは天井部分にFFU(ファンフィルターユニット)を設置し、そこで清浄化された空気を室内に送り込みながら同時に室内の空気を屋外に排出しています。常に給排気を行う必要があるため、何の対策もしなければ高額な電気代がかかります。
とくに清浄度の高い空気を大量に取り込み回転させる「換気回数」が多い場合、電気代を中心にランニングコストがかさみます。
過去に経済産業省電力需給緊急対策本部「夏の電力需給対策(2011年5月13日)」でも、電力負荷設備の例にクリーンルームが取り上げられたこともあり、クリーンルームにおける節電は急務となっています。
クリーンルームの節電対策にもさまざまな方法があります。いくつかの例を紹介しますので、自社で実現可能な節電方法を検討してみてください。
クリーンルームで電気を消費するのは、照明や空調機などもあります。そこで照明を高効率蛍光灯やLEDタイプに交換したり、照度コントロールができるもの、必要なところにのみ使うスポット照明にしたりすることで、大幅な節電が期待できます。
また空調機も最新インバータタイプ、レヒートタイプ空調機などにすることで、内部発熱を低減させて消費電力低減に繋げます。
ビニール製のカーテンは、冷気・暖気の流出を防ぎながら視界が確保できます。ビニールカーテンを使用してクリーンルーム内でクリーンエリアを分け、必要な部分だけ局所的に清浄度を高めると、全体の給排気を行うより消費電気量が抑えられます。
クリーンルームの省エネポイントは循環ファンです。清浄度が保てる最小風量になるようファンの回転数を減らすことで、消費電電力を減らすことができます。
またクリーンルーム内を加湿している場合、夏季には加湿の必要がないことがあります。本当に必要かを見直し季節によって加湿の中止を行いましょう。加湿が必要な場合には、気化式加湿器への変更も省エネに有効です。
工業用クリーンルームのランニングコスト削減を目的とした、省エネ制御システムの導入も電気量削減が可能です。クリーンルーム内の粉塵濃度を測定する市販のパーティクルカウンターの数値を常に監視し、ファン・フィルター・ユニットの運転強度を調整するというもので、粉塵濃度が所定の管理限界値に近づいた場合には運転強度が強くなり、そうでない場合は運転強度を弱めてくれます。
近年電子部品の組立工場においては微細化が進んでいますが、それに伴い品質を保つための空気清浄度、温湿度の管理もより高いクリーン化を求められています。
従来通り部屋全体をより高い清浄度でクリーン化すると、コストが高くなるため、部屋の中にクリーンブースを設置して必要な部分のみ清浄度を高めます。局所クリーン化によって無駄な電力を省き、節電効果が期待できます。
節電するには対応できる範囲や、実施できる内容を考慮して、どこで節電を実施するかを検討する必要があります。ポイントごとに説明します。
営業時間すべてにわたって基本となる電力の消費を見直します。電力使用ピーク時の電力削減と、全体使用量の削減のどちらにも効果が期待できます。例えば、クリーンルームの循環風量の見直しや、季節ごとのクリーンルーム等の加湿中止などがベースカットに当たります。
1日のうち一番電力を使う際の使用量を抑えることがピークカットです。ピーク時の電力を削減することで、単価が高い時間帯の電気料金を抑え、最終的に全体使用量を削減します。
1日で最も電力を使う時間帯を、電気量の安い夜間や早朝などにシフトすることです。また昼間に電気使用量が多い場合には、電気使用量が少ない夜間などに蓄電池に電気を貯え、その電位をピーク時に使うことで電気代が削減できます。
営業時間内や、操業時間のどこかで節電をします。例えば昼休みに使用していないパソコンの電源をすべて落としたり、使用していない部屋の照明や空調を止めたりすることで、全体使用量の削減が可能です。
クリーンルームやクリーンルームは高い電気使用量がかかることは事実です。しかしコスト削減や省エネにもつながる対策や方法がありますので、節電対策をしながら導入すればかなりランニングコストを抑えられます。省エネやコスト削減につながるクリーンブースもありますので、導入を検討してみましょう。
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