本ページは2025年5月現在の国内主要メーカー(アズワン・ミスミ・伸榮産業・ヤマト科学)カタログ、JEDEC J-STD-033D、ISO 14644-5、JIS K 0137 などの公開資料を基に編集しています。導入時は必ず一次資料と社内品質基準を併せて確認してください。
デシケーターは、湿気に敏感な材料・部品・試薬を常温で低湿度に保つための密閉保管装置です。電子部品の MSD(Moisture Sensitive Device)や粉末試薬、光学素子、ゲージ類のサビ・カビ・凝集といった劣化を未然に防ぎます。ここでは①基礎、②方式、③選定、④湿度管理ノウハウ、⑤TCO、⑥事例、⑦FAQを、クリーンブース運用を前提に実務視点で解説します。関連する清浄度・換気の基礎はクリーンクラス解説や換気回数ガイドもあわせて参照ください。
語源はラテン語 desiccare=乾燥させる。冷却ではなく、相対湿度(RH)5~40%程度を制御して保管するのが特徴です。JEDEC J-STD-033D では MSD の露出許容時間(Floor Life)やベーキング条件が定義され、適切な低湿環境に保つことでリフロー前の吸湿→ポップコーン割れを抑制できます。
最もシンプルで電源不要。10~30%RHで安定するケースが多く、ランニングコストが小さい。吸湿限界に達した乾燥剤は 120℃×2h 程度で再生可能。棚の配置で空気の攪拌・偏りが変わるため、庫内の上下差を意識して配置します。
長所 | 短所 | 推奨用途 |
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初期費用最小、停電に強い | 復帰に時間、RHの微調整が難しい | 光学部材・治具・予備部品 |
庫内除湿ユニットで 5~20%RH を自動維持。方式は「冷却再生式(ペルチェ凝縮/ドレン蒸発)」と「ヒート再生式(モレキュラーシーブ自動再生)」の二系統。扉開閉後のRH復帰はおおむね10~15分が目安。SMT ラインの夜間・休日保管に定番です。
長所 | 短所 | 推奨用途 |
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安定RH、復帰が早い、記録機能と相性◎ | 電源必須、ユニット保守が必要 | MSD、微小部品、研究材料 |
乾燥と同時に酸素分圧を低下(O₂ < 1%)させ、酸化と静電気を抑制。フローメータやマスフロー+O₂/RH デュアルセンサで流量の最適化が可能。窒素消費の低減にはパージ+間欠供給制御が有効です(シール性が重要)。
長所 | 短所 | 推奨用途 |
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酸化抑制、静電低減、低RH達成が容易 | ガスコスト、配管設備が必要 | 高反射ミラー、リチウム電池材料、バイオ原料 |
庫内を 10-1~10-3 Pa に排気して水蒸気・酸素をほぼ排除。低温乾燥プロセスに流用でき、含水率を ppm レベルまで下げたい場合に有効。ガス放出の大きい材料は段階減圧やソークを併用します。
長所 | 短所 | 推奨用途 |
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極低水分・酸素、乾燥時間の短縮 | 装置費大、揮発溶媒の取り扱い注意 | 樹脂乾燥、ハーメチック封止前処理 |
項目 | 推奨仕様 | 留意点 |
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筐体材 | ステンレス/導電アクリル | クリーン用途はISOクラス適合の発塵/アウトガスに留意 |
窓材 | 帯電防止アクリル(表面抵抗 107~1010Ω) | 曇り防止コート、傷対策 |
パッキン | シリコン/EPDM ガスケット(二重リップ) | 漏れ率低減=窒素消費削減に直結 |
アース | 筐体・棚・ESDマットを共通母線にボンディング | 年1回の接地抵抗点検 |
方式 | 初期費(円) | 年コスト(円) | 5年TCO(円) | 備考 |
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乾燥剤 | 120,000 | 15,000(乾燥剤) | 195,000 | 停電影響なし |
オートドライ | 280,000 | 18,000(電力) | 370,000 | 記録機能と親和 |
窒素置換 | 350,000 | 58,000(N₂ 99.99%) | 640,000 | 流量最適化で削減可 |
真空型 | 650,000 | 40,000(電力+パッキン) | 850,000 | 用途限定だが効果大 |
電力単価 30 円/kWh、N₂ 60 円/m³ で概算。実環境・開閉頻度で変動します。
デシケーターは、湿度・酸素・静電気といった劣化ドライバを同時に制御し、製品品質と研究データの信頼性を守る基盤装置です。方式ごとの特性と TCO、クリーンブース内の気流・清浄度との整合を確認し、監視・記録・保守を運用設計に組み込むことで、“必要十分な乾燥性能”と“運用のしやすさ”を両立できます。迷ったら、清浄度・換気・消防の観点も含めた全体最適で検討しましょう(関連:清浄度/換気回数/消防法)。
目的に合ったクリーンブース選定の第一歩に
クリーンブースは、製品ごとに最適な設置環境や性能条件が異なります。
使用目的や現場環境に合ったブースを導入するためにも、まずは当サイトおすすめの取扱い企業を確認してみましょう。
伸榮産業
引用元:伸榮産業公式サイト
https://www.s-shin-ei.co.jp/clean_booth.html
日本エアーテック
引用元:日本エアーテック公式サイト
https://www.airtech.co.jp/
・医薬品製造工場の実績が豊富
・医薬品製造工場が多数ある中国・シンガポール・韓国・インドなど8つの海外拠点を持つ
アズワン(AXLE)
引用元:アズワン公式サイト
https://www.airtech.co.jp/