2023年4月10日更新
進化しつづけるクリーン環境のためのテクノロジー。一方、COVID‑19の感染拡大によって、陰圧ブースの需要が伸びたように、需要においても変化の波が起きています。ここでは、クリーン業界における新しい技術や製品のニュースを随時更新、掲載していきます。
大成建設株式会社は、多孔質膜の布製ダクトを使用したクリーンルームシステム「T-Flexible Cleanroom Membrane」を開発。従来の工業用クリーンルームは天井に多数の部材を設置する必要があり、吊荷重に対応するためのコストが課題になっていました。
大成建設株式会社のクリーンルームシステムは機材を軽量化し、コスト低減を実現。また、軽量化によって大地震時の設置機材落下による人的リスク・物損リスクも軽減され、安全性の向上も叶えています。性能についても除塵性能が高く圧力損失の少ない高性能ろ材を使用しており、送風ファンのエネルギーロスを抑えた省エネ化を実現しました。
大成建設は、三菱電機照明株式会社と共同でクリーンルーム用青空照明「T-Clean Skylight」を開発。本システムは三菱電機照明の青空を高精度に再現した照明器具をベースとしており、さらにクリーンルームの清浄環境に適応した構造が採用されているのが特徴です。
これまで従業員に圧迫感を与えていた閉鎖空間のクリーンルームに開放感をもたらすことに成功し、従業員の健康に配慮した快適な作業環境を実現しています。また、照明器具や本体ケースに設けられたパッキンによって気密性が保持されるため、クリーンルーム内の空気圧や温湿度などの室内環境を乱しません。
大規模施設にスピーディ設置が可能な陰圧クリーンブース
2020年5月21日、日立グローバルライフソリューションズ株式会社は診療用隔離装置「陰圧クリーンブース」の販売を開始することを発表しました。ローツェライフサイエンス株式会社及びSHANGHAI RORZE REMED BIOTECHNOLOGY CO., Ltd.と共同開発したものであり、大規模施設などに必要とされる診療用隔離装置として活用されます。
【陰圧クリーンブースの特徴】
設置の利便性では部品をモジュール化することで組み立てやすくしており、組み立てにかかる時間は4時間程度。病院やイベント会場など、診療用隔離装置が必要な場所にスピーディな設置が可能です。
参照元:日立グローバルライフソリューションズ株式会社公式サイト(https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/05/0521.html)
海外評価の高い抗ウイルス・抗菌フィルムを取り扱い開始
2021年5月21日、株式会社瑞光メディカルは「Coversafe(TM)(カバーセーフ)」を販売元として取り扱い開始することを発表しました。
「Coversafe(TM)(カバーセーフ)」は海外で高評価を得ている粘着性の抗ウイルス・抗菌フィルムであり、フランスのパイロット社の技術である「有機ミネラル微粒子テクノロジー」活用によって付着したウイルスや細菌を減少させます。
製品は粘着性のフィルム状になっており、ドアノブやテーブル、階段の手すりなどさまざまな箇所に貼り付け可能。フリーカット仕様のため、貼り付けたい箇所の形状に合わせてカットできます。
【Coversafe(TM)(カバーセーフ)の特徴】
(※1)…リモージュ大学ウイルス学部(CBRS、CHU of Limoges 認定 COFRAC)において、ISO21702 に規定された方法により実施された結果による。(2021.1.7 プレスリリース)
(※2)…学術論文参照 J Appl Microbiol、2018 年 7 月;125(1):45-55
参照元:株式会社瑞光メディカル公式サイト(http://www.zuiko-medical.co.jp/index.html)
参照元:株式会社瑞光メディカル公式サイト内ニュースリリース「CoversafeTM(カバーセーフ)を販売元として取り扱い開始」(http://www.zuiko-medical.co.jp/topics/NewsCoversafe.pdf)
風で吹き飛ばしたウイルスや細菌を
紫外線の力で減少
2021年6月2日、株式会社AND SHIELDは風と紫外線の力で感染対策を行う「クリーンエアシャワー」の販売開始を発表しました。この製品は株式会社AND SHIELDと株式会社エッチ・ピー・エス、福岡大学化学システム工学科の三島健司教授の研究室が共同開発したもの。
感染症対策が必要なイベント会場の入場エリアなど設置することで、感染リスクの軽減につなげます。
【クリーンエアシャワーの特徴】
仕組みとしては、クリーンエアシャワーの前に立つ人に風を吹き付け、ウイルスや細菌などを吹き飛ばします。吹き飛ばしたウイルスや細菌はULPA・HEPAフィルタで捕えられ、紫外線の力によって減少します。
強い風を吹き付けるため冬などの寒い時期には使用が困難でしたが、オプションの温風ヒーターを搭載することで周辺温度より5℃〜10℃高い温風を出すことが可能です。
参照元:株式会社AND SHIELD公式サイト(https://andshield.jp/news/1001/)
需要高まるクリーンルーム技術市場の今後
GEAR-NET JAPANニュース(2021年6月21日)やExtrain(日付不明)、有限会社キムズ(2021年6月21日)などが発表したニュースでは、クリーンルーム技術市場における業界や今後の成長について述べられています。
たとえば有限会社キムズの記事によると、世界におけるクリーンルーム技術市場は2030年までに100万米ドルを超えると予測されるのだとか。これにはクリーンルーム技術が革新していること、クリーンルーム技術の採用機会が増えていることが推進力となっているようです。ただ、今後の市場成長において高コストを要するクリーンルームの設置や使用が成長の妨げとなる可能性についても触れられています。
参照元:GEAR-NET JAPANニュース「クリーンルームエアフィルター市場(2021年-2028年)-成長の機会とビジネスの成長」(http://gear-net.com/news/667334/クリーンルームエアフィルター市場(2021年-2028年)-成/)
参照元:Extrain「 クリーンルームフィルム市場2021年のサイズ, シェア, トレンド, 成長, および企業分析と2027年までの予測」(http://www.extrain.info/2021/06/21/クリーンルームフィルム市場2021年のサイズ-シェア/)
参照元:有限会社キムズ「クリーンルーム技術市場の業界規模、シェア、今後の動向、ビジネスの成長、競争力のある風景、2030年までの予測」(https://mujihi.jp/クリーンルーム技術市場の業界規模、シェア、今/)
非侵襲で揮発性成分を計測できる環境を構築
2021年3月31日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は東京医科歯科大学とNMEMS技術研究機構とともに共同開発した、「経皮ガス計測デバイス評価用清浄環境および極低濃度ガス発生装置」について発表しました。 本装置は東京医科歯科大学に構築されたものであり、極低濃度ガス発生装置とクリーンブースを組み合わせることで経皮ガス計測デバイスを評価可能な清浄環境を実現。これにより、代謝や疾病に関わる体内の揮発性化学成分について被検者の体を傷つけずに計測することが可能となりました。
【装置の特徴】
なお、今後はウエアラブル・バイオセンシングの具現化に向け、通信機能をもつ超高感度ガス計測デバイス搭載の「小型ウエアラブル計測端末」の開発を進めているそうです。
参照元:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)公式サイト(https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101417.html)
伸榮産業
日本エアーテック
・医薬品製造工場の実績が豊富
・医薬品製造工場が多数ある中国・シンガポール・韓国・インドなど8つの海外拠点を持つ
アズワン(AXLE)